【ディック】
「キスする時は、目を閉じなきゃ駄目だぞ。
後、息も止めなきゃくすぐったい」
【セルジ】
「って……そんな事、てめえに言われなくても分かってるよ。
っていうかお前、どうしていきなりこんな……!」
【ディック】
「どうしてって、好きだから。
セルジの事、元気づけてあげようと思って」
【セルジ】
「……身体でか?」
【ディック】
「身体っていうと語弊があるけど……まあ、
とにかく、色んな事を忘れさせてあげようと思って」
唇を重ねながら、そんな事を呟きかける。
生温い息で湿った声が、唇と唇の繋ぎ目から零れ落ちた。
【セルジ】
「んっ、うっ……ん、んぅ……んっ……」
【ディック】
「こないだのキスのお返し。
……ってかセルジ、自分がされる時は、随分大人しくなっちまうんだな」
【セルジ】
「ばっ……! あ、ありゃ冗談みてえなもんだろ」
【ディック】
「うーん……確かに、最初にした時はそうだったかも知れないけど。
セルジの中では、今でも冗談なのか?」
【セルジ】
「………」
【ディック】
「言ってくれないんだ?
……俺の中じゃ、あれはもう冗談じゃなくなってるんだけどな」
掌でセルジの身体を押さえ、ゆっくり下へ下へと下ろしていく。
【セルジ】
「んっ……!」
指先が、布の向こうにある強張りに触れた。
【ディック】
「あれ? ……固くなってる?
もしかして、キスだけで気持ち良くなっちまったとか……」
【セルジ】
「ば……馬鹿! 別に、そういうんじゃねえよ!
自分の意志とは裏腹に、こうなっちまう事だってあるさ」
【ディック】
「裏腹かなあ?
どっちかっていうと、身体の方が正直に見えるんだけどな」
布の中で張り詰め、固く自己主張しているモノを掌で扱き立てていく。
【セルジ】
「うっ……く、うぅっ……!」
うめき声にも似た喘ぎが、セルジの口元から零れ落ちた。
【ディック】
「……そんな死にそうな声出さなくてもいいのに。
ただ、触ってるだけなんだから」
【セルジ】
「お前……二重人格だって言われねえか?」
【ディック】
「残念だけど、ないな。そんな風に見える?」
【セルジ】
「……性欲なさそうな顔してやがるくせに、
こんな真似……っ、く、うぅっ……!」
【ディック】
「ほら、喋ってないで集中しなきゃ。
……この辺、だんだん湿ってきたみたいだよ。
もしかして、濡れてる?」
【セルジ】
「馬鹿……お前の手の汗だ」
【ディック】
「へえ、そうなんだ。
ズボンの上からでも分かるくらい大きくなってるから、てっきり……」
ズボンを突き上げるほど固く反り返った屹立を、指先でピンと弾く。
【セルジ】
「っ――!」
【ディック】
「こういう事すんの、初めてじゃないんだろ?
どうしてそんな、可愛い顔するかな」
【セルジ】
「……馬鹿、その辺の奴らとやるのと、
お前とするのじゃ、意味合いが……」
【ディック】
「ん? 何か言った?」
【セルジ】
「……何でもねえよ」
セルジはプイッと顔を背け、吐き捨てるように言う。
【ディック】
「セルジって、いつもそうだよな。
気持ちが見えそうになるたびに、すぐ顔をそらして黙っちまうんだ」
【ディック】
「そういう所を見ると……こうしてやりたくなる」
もう何度目かすら分からない口付けの後、俺はセルジの舌をきつく吸う。
【セルジ】
「うっ……ん、うぅっ……!」
漏れ聞こえるのは、切迫した吐息。
熱く上気した頬が何度も触れ合い、更に鼓動を早めていく。
掌の中にある屹立が、ビクンッ……と跳ね上がった。
【ディック】
「すごいなぁ……。
ここ、セルジよりずっと正直じゃん。
こんなに固く……熱くなって」
俺は湿ったズボンごと、セルジの分身を扱き上げた。
【セルジ】
「うっ、あ、うっ……く、うぅっ……!」
【ディック】
「なあ、どう……? もう、イキそう?
それとも、まだ我慢出来る……?」
セルジのそこを数え切れない程扱き立てながら、
俺は耳元で問い掛けた。
【セルジ】
「………」
セルジは無言のまま、首を左右に振る。