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【青樺】

「うっ・・・やめろ・・・」


 

濡れた唇が、胸元に降ってきた。

まるで生き物か何かのように、ぬるぬると肌を滑る感触に、

俺は、眉を寄せた。

旺珂を押しのけようにも、両手は手首を旺珂につかまれて、

寝台に押し付けられている。

脚も、上半身も、ほとんど動かせないほど完璧に押さえ込まれていた。

だから、されるがままに、旺珂の唇を受け入れるしかない。

 

【青樺】

「・・・あっ・・・旺珂、やめてくれ・・・」


 

ゆっくりと流れてきた唇が、小さな胸の突起を捕らえた瞬間、

ビリッと鋭いしびれが走った。

唇ではさまれ、熱い舌に触れられると、むずがゆいような熱が生まれる。

それは、そのまま腰へと流れ込んでいくようだ。

 

【青樺】

「んっ・・・あっ・・・旺珂・・・やめっ・・・」


 

旺珂の舌が胸の突起をくすぐってくるから、拒絶の言葉が、

うまく口から出てこない。

それどころか、きつく吸われてビクンッと体がはねた。

 

【青樺】

「・・・やめてくれ・・・あっ・・・旺珂・・・」


 

一度離れていった旺珂の唇が、反対側の突起を襲う。

軽く歯を立てられ、舐められ、それは痛いほどに熱くなっていった。

さっきまでいじられていた方も、熱が引かずに、甘くうずいている。

触れられているのは胸だけのはずなのに、

下半身の中心まで熱くなっていた。

体から力が抜けて、もうまともに抵抗できそうになかった。

それがわかっているのか、旺珂は、

俺の手首を押さえていた右手を伸ばして、

開いている方の胸の突起を指ではさんだ。

 

【青樺】

「んっ・・・あっ・・・いやだっ・・・」


 

片方ずつでもつらかったのに、両方同時にいじられたら、

もうおかしくなりそうだった。

旺珂の体にはさまれた俺のものは、衣で押さえつけられているのが、

苦しいほどに、熱くなっている。

それを旺珂に気付かれるのが嫌で、なんとか逃れようともがく。

けれど、それは、逆に、高ぶったものを、

たくましい旺珂の腰にこすりつける結果になってしまった。

 

【青樺】

「うっ・・・離して、くれ・・・あっ・・・あぁっ・・・」


 

逃げようとした罰とばかりに、

指にはさまれた胸の突起が、痛いほどにひねられる。

同時に、旺珂の口に含まれていた方も、きつく歯を立てられる。

痛みと同時に、耐えがたいほどの熱が生まれて、

旺珂に押さえつけられた体が、ビクッと震えた。

 

【旺珂】

「青樺」


 

俺の胸から顔を上げた旺珂が、じっと俺を見下ろしている。

俺は、肩で息をつきながら、旺珂を見上げていた。

このまま、旺珂の愛人にされてしまうのだろうか?

そんなのは嫌で、逃げ出したいと思うのに、

手足がしびれたようになっていて、体が動かない。

とうとう旺珂の手が、下半身を隠してくれている衣にかかった。

 

【青樺】

「旺珂。やめてくれ」


 

そこがどうなっているか、自分でもよくわかっていたから、

俺は、懸命にもがいた。

けれど、旺珂の手は、難なく俺の脚を押さえつけて、

熱くなった下半身をあらわにしていく。

息をのむ気配がして、旺珂が俺の上から離れていった。

自分も衣を脱ぐつもりなんだろう。

衣ずれの音がする。

 

【青樺】

「見ないでくれ」


 

俺は、そのすきに、重い体を動かして、うつ伏せになった。

 

【旺珂】

「今さら逃がしてやらない」


 

素早く衣を脱ぎ捨てた旺珂が、逃げようとした俺の腰をつかんで、引き寄せようとする。

 

【青樺】

「旺珂。頼むから、もう・・・・・・」


 

旺珂に抱かれてしまったら、

もう、信頼しあった仲間になりたいなんて言えなくなってしまう。

逃げようともがいたけれど、せまい寝台の上では、

逃げ場所なんて、どこにもなかった。

すぐに、窓際に追いつめられてしまう。

 

【青樺】

「あっ・・・旺珂・・・」


 

背中に舌を這わされて、ゾクッとした。

窓際に追いつめられ、旺珂に背中から抱きとめられた俺には、

もう逃げ場がない。

指の色が変わるほどきつく窓枠を握りしめて、

まぶしすぎるほどまぶしい青空を見つめていることしかできない。

 

【青樺】

「うっ・・・旺珂、やめてくれ」


 

そんな俺の背に口付けを落としながら、

旺珂の指が秘められた蕾に触れてきた。

自分ですら触ったことのない場所を、柔らかく撫でられる異様さに、

うめき声が漏れる。

強張った背中をなだめるように、

旺珂の唇が這い、熱い舌が舐めていった。

ザワザワと妖しいざわめきが、

硬い蕾をいじられる気持ち悪さと混ざり合って、俺を苦しめる。

 

【青樺】

「ううっ・・・旺珂・・・」


 

ゆっくりと旺珂の指が、蕾の中に押し入ってきた。

せまい中を押し広げられる痛みに、涙がにじんだらしい。

見上げた空が、ぼやけていた。

 

【旺珂】

「力を入れるな」


 

欲望にはやった旺珂の声が、無情に命じてくる。

 

【青樺】

「くっ・・・はぁ・・・」


 

俺には、それに従う以外の道は残っていなかった。

逃げる場所も、旺珂の心を変えさせる言葉も、

どこにも見つからなかったから。

俺は、大きく息を吐いて、何とか体の力を抜こうと努力した。

そのすきに、旺珂の指が深くもぐりこんでくる。

指の動きに合わせて、せまい中を無理に広げられる苦痛が生まれた。

それをやり過ごすために、俺は、ただ懸命に深い呼吸を繰り返す。

旺珂も、なだめるような柔らかい口付けを、

俺の背中にいくつも落としていった。

そして、旺珂の指が根元まですっかり俺の中に埋まった時、

束の間の静寂が訪れる。

拒むようにきつく締め付ける蕾が柔らかくなるまで、

旺珂はじっとそのままにしていた。

俺も、ただ深い呼吸を繰り返して、

少しでも体から力が抜けるよう、気持ちを静める。

俺たちは、ただお互いの呼吸の音だけを聞いていた。

 

【旺珂】

「そろそろ、いいか?」


 

けれど、その静けさは、旺珂の一言で、いとも簡単に破られる。

 

【青樺】

「うっ・・・はっ・・・はぁ・・・」


 

旺珂の長い指が、蕾の中をまさぐり、ほぐしながら、

柔らかな中をかき混ぜ始めた。

痛みと奇妙なうずきが一緒になって、俺から考える力を奪っていくようだ。

痛みに慣れたのか、少しずつ苦痛があいまいになっていった。

俺は、うめき声と荒い息遣いを零しながら、

ただ旺珂の指を受け止め続ける。

 

【青樺】

「・・・んっ・・・くっ・・・旺珂・・・やめっ・・・!」


 

ぼんやりし始めていた俺は、

いきなり、体が強張るほど鋭い疼きを与えられ、

高い悲鳴を上げてしまった。

気持ちいいなんて言えない、苦しいほどの刺激なのに、

旺珂の指が、そこに触れる度、確かに体が熱くなる。

 

【青樺】

「・・・あっ・・・やめっ・・・旺珂・・・やめて、くれ・・・」


 

体の奥から沸きあがってくる熱に、

頭も、体も、おかしくなってしまいそうだった。

しつこいほどにそこばかりを責められて、

一度も触れられていない俺のものが、どんどん熱を持っていく。

蕾の中で動き回る指に、痛みを感じることも、ほとんどなかった。

引き抜かれては、突き込まれる指の動きに合わせて、

少しほどけてきた蕾が、妖しく絡みついていく。

 

【青樺】

「・・・んっ・・・はぁ・・・あっ・・・やっ・・・」


 

口をついて出る声は、自分のものとは思えないほど、

甘ったるく濁っていた。

けれど、それを我慢する余裕もなくて、

俺は、だらしなくゆるんだ口から、

甘い吐息とあふれる唾液をこぼし続ける。

 

【青樺】

「あっ・・・はっ・・・あぁ・・」


 

放っておかれている前が苦しくて、思わず自分の指を絡めてしまった。

 

【旺珂】

「そろそろ平気になったか?」


 

それに気付いた旺珂が、低く耳元でささやいてくる。

急に恥ずかしくなって、俺は、慌てて手を引っ込めようとした。

それなのに、旺珂の手が素早く重なってきて、

そのまま俺の手ごと握りこまれてしまう。

初めて与えられた刺激に、俺のものは、

あっという間に、はしたないほど濡れてしまった。

俺の手も、旺珂の手も、あふれてきた雫が、汚していく。

その間も、旺珂の指は、俺の中で動き続けていた。

 

【青樺】

「・・・あっ・・・もう・・・」


 

前も、後ろも感じる場所に旺珂の指が触れていて、

おかしくなってしまいそうだ。

自然に腰がゆれて、まるでねだっているようで、恥ずかしい。

 

【旺珂】

「大丈夫そうだな」


 

旺珂の言葉に、熱くなっていた頬が、さらに熱くなる。

旺珂は、俺の前を少し痛いくらいに握りしめたまま、指を引き抜いた。

その衝撃にすくんだ体を、旺珂の両手がしっかりと抱きしめてくる。

急に指を解かれたものが、ポタポタと雫を零して、俺は、甘く息を吐いた。

 

【青樺】

「ぐっ・・・うわぁっ・・・」


 

瞬間、旺珂の熱く高ぶったものが押し付けられ、一気に貫かれる。

体を引き裂かれるような痛みに、俺は、窓際だと言うことも忘れて、

高い悲鳴を上げていた。

自然に浮かんできた涙のせいで、外に人がいるかどうか見えない。

けれど、どうせ、辺りの様子を確かめている余裕なんてなかった。

 

【青樺】

「うっ・・・くっ・・・旺珂・・・苦し・・」


 

深々と貫かれて、休む間もなくゆすぶられる。

ギリギリまで引き伸ばされた蕾がきしんで、悲鳴を上げていた。

俺の方は、悲鳴を上げることもできずに、鈍いうめき声を上げながら、

ただ旺珂の動きを受け止めていた。

 

【青樺】

「・・・んっ・・・はっ・・・はぁ・・・」


 

ゆるく腰をゆらす旺珂の動きに合わせて、荒い息を繰り返す。

ゆすぶられ続けた体は、せり上がり、窓から落ちそうだった。

そんな俺を、旺珂のたくましい腕が、しっかりと支えている。

汗に濡れて、強張った背を、旺珂の唇が、なだめるように撫でていった。

 

【青樺】

「・・・やっ・・・くっ・・・あぁ・・・」


 

せまい中をかき混ぜる旺珂のものは、

俺の感じる所を確実にとらえていたみたいだ。

無理矢理広げられる痛みに慣れてきた途端、

苦しいほど甘い刺激が生まれる。

それが、甘ったるい喘ぎになって、俺の口から零れ落ちた。

 

【青樺】

「・・・んっ・・・はっ・・・んんっ・・・」


 

一度甘さを覚えてしまうと、体は、確実にその甘さを追いかけていく。

ゾクゾクとした疼きが、蕾から生まれて、前を熱くしていった。

ポタポタと濃い雫が、窓から下の地面へと滴り落ちていく。

もしも、人が下を通っていたら、なんて言う心配は、

すぐに、かすかな痛みと苦しいほどの甘さに飲み込まれてしまった。

 

【青樺】

「うっ・・・あっ・・・やぁ・・・」


 

熱く高ぶったものが、俺の感じる所をこすり上げ、

さらに奥まで貫いていく。

俺の体は、それを受け入れることで与えられる甘さに、

すっかり溺れていた。

旺珂の動きに合わせて抜けていくそれを引き止めようと、

濡れた蕾が絡み付いていくのと止められない。

 

【青樺】

「・・・んっ・・・ふっ・・・旺珂・・・あっ・・・いやっ・・・」


 

自然に口を突いた名前に誘われるように、

片手でしっかりと俺を支えた旺珂が、スルリと前を握りこんでくる。

前も、後ろも、感じすぎて苦しいほどだった。

時に優しく、時に激しく、旺珂のものが俺の体を貫き、かき回していく。

濡れた手が、硬く張りつめたものを、

追いつめるようにしごき、先端に爪を立ててくる。

 

【青樺】

「・・・はっ・・・あっ・・・駄目っ・・・」


 

一瞬、頭が白くなるほどの刺激が、体を駆け抜けていった。

 

【青樺】

「・・・あっ・・・いやっ・・・ああぁっ・・・」


 

俺のものを痛いほどに強くしごき上げた旺珂の手が、腰にかかる。

しっかりと腰をつかまれて、俺の体を引き寄せるようにして、

深々と貫かれていた。

瞬間、俺は、耐え切れずに、熱を解き放っていた。

白い欲望が、青い空へと放たれる。