こうして二人で寄り添っているだけで幸せだった。

このままの時間が、ずっと続けばいいと思う。

だけど、それはありえないことだった。

 

【青樺】

「動物でも同じ仲間同士では殺し合わないのに、なぜ人と人は殺し合うんだろうな」


 

俺は、吸い込まれそうな高い星空を眺めたまま、つぶやいた。

 

【李琉舜】

「そうだな・・・・・・」


 

李琉舜には、まだ決戦のことは話していない。

だけど、俺の様子から、なんとなく気付いているみたいだ。

 

【青樺】

「近いうちに、陳王高と決戦することになった」


 

俺は、空を見上げたまま、そう言った。

澄み切った秋の夜空には、あふれんばかりの星が瞬いている。

 

【李琉舜】

「そうか」


 

李琉舜も、空を見上げたまま、うなずいた。

俺たちは、また黙って空を見上げていた。

さわさわと風が吹き抜けると、木の枝の釣灯篭がゆれる。

李琉舜の耳の飾りも、その光を映してゆれている。

俺は、ぼんやりとそれを眺めていた。

 

【李琉舜】

「このまま、この穏やかな時間が永遠に続けばいい」


 

李琉舜が、溜息をつくように、ひそやかにつぶやいた。

 

【青樺】

「そうだな」


 

それは、そのまま俺の思いだった。

そして、俺と同じように、李琉舜もこの幸せな時間が続かないことをよく知っている。